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結論:操作系は各社で違うが、基本概念は共通。1社覚えれば応用が利く

産業用ロボットのティーチングは、メーカーごとにペンダントの操作系やプログラムの書き方(言語)が異なります。しかし、座標系を使ったジョグ操作や教示点の登録といった基本の概念・流れは各社で共通です。だからこそ、まず1社をしっかり覚えれば、他メーカーへも比較的スムーズに応用できます。

  • これから学ぶ人 → メーカー選びに悩むより、まず1社で「座標系・ジョグ・教示点」を体に入れる
  • 転職を考える人 → 扱うメーカーが変わっても、基本概念+現場経験があれば適応は現実的

まず押さえる:各社で「共通している」もの

ティーチングの土台になる考え方は、メーカーが違ってもおおむね共通です。ここを理解しておくと、機種が変わっても迷いにくくなります。

  • 座標系の概念:ロボットの動かし方は、各関節を個別に回す関節(軸)座標系と、XYZ方向で空間的に動かす直交(デカルト)座標系が基本。さらにツール座標系(先端工具基準)、ベース/ワールド座標系ユーザー/ワーク座標系といった考え方も多くのメーカーで共通して登場します。呼び名や切替方法は各社で異なります。
  • ジョグ操作(手動送り):ペンダントの軸キー(+/−)でロボットを少しずつ動かし、狙いの位置へ持っていく操作。
  • イネーブルスイッチ(デッドマンスイッチ):教示中の安全装置。一定の力で握っている間だけロボットが動く仕組みは各社共通の考え方です。
  • 教示点の登録と再生:動かした位置を「教示点(ポイント)」として記録し、順番に並べて動作プログラムを作る → 再生して動作確認、という流れ。
  • オンライン教示とオフライン教示:実機をペンダントで動かすオンライン教示と、PC上のシミュレーションで作るオフラインティーチング。後者は各社が専用ソフトを提供しています。

つまり「座標系を切り替えてロボットを動かし、位置を覚えさせて順番に並べる」という骨格は共通。ここを1社で習得すれば、他社は“対応づけ”の学習が中心になります。


各社で「違う」もの(事実ベースの一般的な傾向)

異なるのは主に操作系(ペンダントのUI・ボタン配置)プログラムの書き方(言語)、そして専用ソフトです。以下は一般的に知られている傾向で、細かいスペックや最新機能は各社公式情報で必ずご確認ください

メーカープログラム作成の特徴(一般的傾向)主なオフライン/開発ソフト(例)
FANUC(ファナック)ティーチングペンダント上でのTP(Teach Pendant)プログラムが中心。上位言語としてKARELも用意。各軸の動作方向ボタンで直感的に操作できるとされる。ROBOGUIDE 等
安川電機(YASKAWA)ペンダントを用いたティーチング。軸名表記など操作性に配慮があるとされる。近年はソフトウェアペンダント等の方式も提供。(各社公式の対応ソフトを確認)
三菱電機(MITSUBISHI)FA機器(PLC等)との親和性が語られることが多い。詳細は公式情報で確認を。(公式の対応ソフトを確認)
KUKA(クーカ)独自言語**KRL(KUKA Robot Language)**によるテキストベースのプログラミングが可能。WorkVisual 等
ABB独自言語RAPIDを使用。専用の開発・シミュレーション環境が提供される。RobotStudio 等

※上表は「どのメーカーが優れているか」を示すものではありません。業界・用途・既存設備によって採用メーカーは異なります。各社の最新の言語仕様・機能・対応ソフト名は、必ずメーカー公式サイトや取扱説明書でご確認ください。

違いが生まれるポイント

  • ペンダントのUI・ボタン配置:軸キーの並び、座標系切替の手順、メニュー構成が各社で異なる。
  • プログラムの書き方:ペンダント操作主体(例:FANUCのTP)か、テキスト言語主体(例:KUKAのKRL、ABBのRAPID)かで、学習の入り口が変わる。
  • 専用ソフト・周辺ツール:オフラインティーチングやシミュレーションのソフトはメーカーごとに別物。
  • 用語・呼称:同じ概念でも座標系や機能の呼び名が異なることがある。

「1社覚えれば応用が利く」のはなぜか

共通する基本概念があるため、2社目以降はゼロからの学習ではなく「翻訳」に近い作業になるからです。

  1. 座標系の理解は共通資産:関節/直交/ツール座標系の意味が分かっていれば、他社では「この座標系はどう切り替えるか」を覚えるだけで済む。
  2. 教示の流れが同じ:ジョグ→位置決め→教示点登録→順番づけ→再生確認、という骨格はメーカーが変わっても変わらない。
  3. 安全の考え方が共通:イネーブルスイッチや低速確認運転など、安全運用の基本は各社で通底している(ただし手順の細部は機種ごとに要確認)。

そのため、現場では「まず主力メーカーを1社、深く」が定石。基礎が固まれば、別メーカーの機種にも適応しやすくなります。

注意:応用が利くとはいえ、新しい機種では必ずその機種の取扱説明書・社内手順・安全ルールに従ってください。「他社で似た操作をしていたから」で自己流に動かすのは危険です。


⚠️ メーカーを問わず共通:教示業務には「特別教育」が必須

どのメーカーのロボットでも、産業用ロボットの教示等の業務、および検査・修理・調整等の業務に労働者を就かせる場合は、労働安全衛生法に基づく特別教育の修了が必要と定められています(労働安全衛生規則)。

  • これはメーカーを問わない法令上の共通要件です。
  • 多くの企業では入社後に会社負担で受講させるのが一般的です。

※制度の詳細・最新の運用は、厚生労働省や各実施機関の公式情報をご確認ください。


転職・求人の観点:メーカーはどう見ればいい?

  • メーカー指定の求人:「FANUC経験者歓迎」「安川の現場経験あれば尚可」のように、特定メーカー経験を歓迎する求人があります。これは即戦力性を見るためで、未経験を排除するとは限りません。
  • メーカー不問の求人:「ティーチング経験」「教示業務の経験」を重視し、メーカーは問わない求人も多くあります。基本概念と現場経験が評価される形です。
  • 確認しておきたいこと:応募先で主に扱う機種・言語・オフラインソフト、特別教育の受講有無・会社負担の有無、立ち上げ出張の頻度など。これらは職場で差が大きいので、求人ごとに確認しましょう。

製造業・FAの技術職は、技術職に強い転職エージェント/求人サイトを使うと、メーカーや業界のミスマッチを避けやすくなります。

→ エージェントの特徴・選び方はエージェントの記事一覧で比較していきます(順次追加)。


よくある質問

Q. ロボットメーカーごとにティーチングは全然違うのですか? A. ペンダントのUI・ボタン配置・プログラム言語はメーカーごとに異なります。一方で、座標系を切り替えてジョグし、位置を教示点として登録していく基本の流れ・概念は各社で共通です。細部は機種ごとに覚え直しますが、考え方の土台は使い回せます。

Q. 1社のロボットを覚えれば他社も操作できますか? A. 完全に同じにはなりませんが応用は十分利きます。座標系やイネーブルスイッチ、教示点登録といった共通概念を理解すれば、他社では「この操作はどのボタン・命令に当たるか」を対応づける学習が中心になります。ただし新機種では必ず取扱説明書と社内手順に従ってください。

Q. 転職先で扱うメーカーが今と違っても大丈夫ですか? A. 扱うメーカーが変わること自体は珍しくありません。基本概念と現場経験があれば適応は現実的です。応募前に、主に使う機種・言語を確認しておくとミスマッチを避けられます。

Q. ティーチングをするのに資格は必要ですか? A. 産業用ロボットの教示等の業務には、労働安全衛生法に基づく特別教育の修了が必要です(労働安全衛生規則)。メーカーを問わない共通要件で、入社後に会社負担で受講させる企業が一般的です。最新の制度内容は公式情報でご確認ください。

Q. どのメーカーから覚えるのがおすすめですか? A. 唯一の正解はありません。自分が就く職場・業界でシェアが高い機種から覚えるのが合理的です。まず1社で座標系・ジョグ・教示の基本を固めましょう。詳細スペックや最新機能は各社公式情報で確認してください。


まとめ

  • 主要メーカー(FANUC・安川・三菱・KUKA・ABB等)は、操作系とプログラム言語が異なる一方、座標系・ジョグ・教示点という基本概念は共通
  • だから1社を深く覚えれば、他社へは“対応づけ”中心で応用が利く
  • ただし新機種では必ずその機種の取扱説明書と安全手順に従うこと。
  • 教示業務の特別教育はメーカーを問わない法令上の共通要件
  • 転職では、メーカー指定/不問の両方の求人がある。基本概念+現場経験があれば、扱うメーカーが変わっても戦える。

各社の細かい仕様・最新機能は変わり得るため、最終的な確認は必ずメーカー公式情報・取扱説明書で行ってください。


参考・出典


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